2022/11/01
世界と日本の金の産出量・埋蔵量は?
金は毎年産出されていますが、どの国でどのくらい産出されているかを知っているでしょうか。
金は資産として地金や金貨として保有している人も多いですが、アクセサリーや腕時計、金歯などとして利用している人も大勢います。
金は金脈から採掘されているので、埋蔵量がどのくらいあるのかが気になる人もいるでしょう。埋蔵量が少なければ将来的には産出量も減ると考えられます。
この記事では世界と日本の金の産出量と埋蔵量について紹介します。金投資をする上で考えた方が良いポイントも解説するので参考にしてください。
金は限りある資源
金は天然に存在する量が限られています。昔から金を人の手によって生み出そうと錬金術の研究がおこなわれてきましたが、現代科学では困難だということがわかっています。
金は限りある資源なので採掘によって産出できる量にも限界があります。これまでの金資源の利用状況についてまずは簡単に確認しておきましょう。
世界で産出されてきた金の量はどの程度か
世界で今までに産出されてきた金は18万トン程度と考えられています。現代では金の産出量が管理されていますが、太古の昔にどのくらい産出されたかは正確にはわかりません。
しかし、18万トンくらいは鉱脈から採掘されて、アクセサリーやICチップなどに使用されているのが現状です。
18万トンの金はオリンピックで使用されている競技用のプールで3.8杯分程度です。莫大な量の金が既に採掘されていることがイメージできるのではないでしょうか。
これだけたくさんの金が採掘済みとなると、今後も金を安定して産出できるかどうかが不安になる人もいるでしょう。
金は限りある資源とはいえ、不可欠な資源として電子部品などに利用されています。実際には金の産出についてどのような対応が取られているのでしょうか。
現在の産出量はコントロールされている
金の産出量は現在はコントロールされていて、むやみやたらに採掘して流通させることを防止しています。
世界全体で大まかにコントロールされているだけではあるものの、年間3,000トン程度の産出量で維持されています。
金が枯渇してしまったらビジネスにも影響が大きいので、制限をかけて安定供給を続けられる仕組みを整えているのが現状です。
世界の金の産出量
世界ではどの国がどのくらいの金を産出しているのでしょうか。
世界全体の金産出量は2018年・2019年には過去最大の3,300トンを記録しましたが、2020年には3,030トンに縮小し、2022年には3,000トンになりました。
ここではさらに詳しく、金の産出量の国別の状況と、日本の状況を紹介します。
金の産出量が多い国ランキング
金の産出量は各国で年々変化しています。安定供給をしつつ、外貨獲得などの目的も達成するためにバランスを考えて産出量をコントロールしているからです。
2021年の金の産出量では以下のようなランキングになっています。
2021年の金の産出量 | |
---|---|
中国 | 370t |
オーストラリア | 330t |
ロシア | 300t |
米国 | 180t |
カナダ | 170t |
ガーナ | 130t |
メキシコ 南アフリカ ウズベキスタン | 100t |
インドネシア | 90t |
この他にもペルーやスーダン、ブラジルなどでも80トン以上の金が産出されています。
産出量を見ると中国・オーストラリア・ロシアのシェアが大きいことがわかるでしょう。
歴史的には南アフリカとアメリカも産出量が多かったものの、近年では産出量が低下してきています。
日本も金の産出国
金は日本でも産出されています。日本には佐渡金山や越中七加祢山、鴻之舞金山から金が採取されていました。
佐渡金山は日本で最も有名なので聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、佐渡金山も1989年に金が枯渇してしまって閉山してしまいました。
越中七加祢山は1700年代に閉山し、鴻之舞金山も1973年に採掘を終えてしまっています。
現在、日本で金を産出しているのは菱刈鉱山です。菱刈鉱山は1985年に採掘が始められた新しい金山です。
品質の高い金が多く、鉱石の金含有量が1トン当たり20グラムもあります。一般的な鉱石では1トン当たり5グラム程度なので、菱刈鉱山の鉱山は宝の宝庫とも言えます。
菱刈鉱山では1985年から2013年の28年間に200トンほどの金が産出されています。年平均にすると7.14トンなので、世界の産出量に比べると微々たる量です。
しかし、日本は資源国の一員となっているのは確かでしょう。
世界の金の埋蔵量
金が産出は世界中で継続されていますが、限りある資源なのでいつかは枯渇します。世界の金の埋蔵量がどのくらいあるのかが気になるのではないでしょうか。
2021年の時点では採掘可能な金の埋蔵量は世界で53,000トンと試算されています。年間3,000トンの採掘を下とすると17年~18年で自然鉱山からの採掘はできなくなってしまいます。
産出量のコントロールが厳しくなる可能性が高いでしょう。国によって産出量のコントロールの仕方にも違いがあります。
ここでは埋蔵量の状況についてまとめたので、産出量と比較して見てみてください。
金の埋蔵量が多い国ランキング
金の埋蔵量は産出量と比例関係になっているわけではありません。
金の埋蔵量が多い国と各国の埋蔵量をランキングとしてまとめると以下のようになっています。
各国の埋蔵量ランキング | ||
---|---|---|
1位 | オーストラリア | 11,000t |
2位 | ロシア | 6,800t |
3位 | 南アフリカ | 5,000t |
4位 | 米国 | 3,000t |
5位 | インドネシア | 2,600t |
6位 | ブラジル | 2,400t |
7位 | カナダ | 2,200t |
8位 | ペルー | 2,000t |
10位 | ウズベキスタン | 1,800t |
産出量ではトップだった中国は埋蔵量では8位です。2,000トンの埋蔵量しかないので、370トンの産出量を維持したとしたら6年以内に枯渇してしまいます。
一方、埋蔵量がトップのオーストラリアでは330トンの産出量を維持したとしても33年程度は産出を続けられます。
南アフリカでは5,000トンの埋蔵量があるにもかかわらず、年間100トンにコントロールしているため、今後50年にわたって金を産出できるでしょう。
このように国によって方針が違う影響で、数年後には産出国のプロファイルにも違いが生じます。産出国が減ると年間産出量も減る可能性が高いため、金の価値が高騰するでしょう。
日本の金の埋蔵量
日本では菱刈鉱山にまだ埋蔵されている金があります。菱刈鉱山の埋蔵量はおよそ150トンと試算されています。
これまでの年平均7.14トンの産出量を維持したとしたら、20年くらいは採掘を続けることが可能です。
ちょうど世界に埋蔵されている金が枯渇する頃までは日本でも金の産出ができると考えられます。
金の埋蔵量が増える可能性
金の埋蔵量は限られているのは事実ですが、現在試算されている量よりも多くなる可能性はあります。
どのようなときに金の埋蔵量が増えるのでしょうか。
金の埋蔵量は技術開発によって増える
金の埋蔵量は今後の技術開発によって増える可能性があります。
現在試算されている金の埋蔵量は、現在の技術で採掘できる金に限定されています。新しい技術が生まれれば、新しい金脈が見つかる可能性があるでしょう。
未開拓な地域も世界中にたくさんあるので、17年~18年後にも金の自然鉱山からの産出は続けられるかもしれません。
しかし、現代技術でも金脈を広い範囲で捉えられます。金の埋蔵量が大きく増えることはなく、20年後や30年後には枯渇すると考えるのが妥当でしょう。
地球に存在する金は限られているので、技術開発によって金の埋蔵量が増えたとしても限界があるのは事実です。
金の都市鉱山の重要性
金の埋蔵量の増加には限界がありますが、地球にある金の量は減るわけではありません。金のアクセサリーやICチップなどに使用されている金を再利用することで、新たに製品の製造に使うことができるでしょう。
しかし、現実的には不燃物などとして金を含む製品が捨てられてしまっている状況があります。
捨てられている金製品を鉱山のように見立てる「都市鉱山」という言葉も生まれました。パソコンやスマートフォンなどの電子機器に使用されているICチップから金を抽出してリサイクルする試みが進められています。
日本は都市鉱山の規模が大きく、7,000トンくらいの金を保有していると試算されています。廃棄された電子機器などから回収すれば、自然鉱山からの産出が途絶えたとしても金を使うことができます。
金の都市鉱山の活用が試みられるようになってきたのが現状で、金の再利用を安定してできるようになるにはまだ長い年月がかかるでしょう。
金の産出量・埋蔵量から考えるべき3つのポイント
世界の金の産出量と埋蔵量の現状を見て、金の資産価値についてどのような印象を持ったでしょうか。
資産運用の際に金の今後について考えておいた方が良い3つのポイントを紹介します。
金の希少価値は増加する
金は今後、希少価値が高まるのは間違いないでしょう。埋蔵量が限られているので、現在の産出量を維持していたら17年~18年で枯渇します。
金が産出されなくなれば希少価値が高くなり、金の取引相場は上がるでしょう。
金は昔からずっと装飾品としての価値が高く、安定した需要がありました。さらに現代では金の産業利用も増えていることから、需要もさらに伸びていきます。
新たに産出される金が少なくなり、需要が伸びたら市場経済の原理によって価格は上がります。
金の希少価値 | |
---|---|
金の産出 | 金価格 |
需要と供給のバランスが崩れてしまうからです。
しかし、金の埋蔵量には限界があるので、産出量を増やすことは難しくなっていきます。このような状況を考えると金の価値はこれからずっと上がっていくと期待できるでしょう。
金投資を始めるなら早いに越したことはない
金の需要が伸びて価値が上がるなら、金投資をした方が良いのは明らかでしょう。価値が上がるのを見越して資産を選んで購入するのが資産運用によって利益を生み出す基本的な考え方です。
金投資をすれば、金の希少性が高まるにつれて資産を増やせると考えられます。
既に金が枯渇する時期が見えている状況なので、金投資は早めに始めるに越したことはありません。
金の相場は歴史的に見ても上がり続けてきています。金投資で資産形成をするなら、少しでも早く始めた方が良いでしょう。
金現物を狙う魅力が大きい
金投資にはさまざまな種類がありますが、金の産出量・埋蔵量について考えると現物が最も魅力的です。金の価格はこれからずっと伸びていくと考えられます。
短期的に見ると相場は大きな上下動を起こしますが、年単位で見ていれば価値が上がっていくでしょう。先物取引やCFD取引などの短期取引ではリスクが高いのであまりおすすめはできません。
純金積立は少額から始められる点で魅力がありますが、長期的に少しずつ積み立てていくのは金には向いていません。今と一年後では、一年後の方が金価格が上がる可能性が高いからです。
純金積立をするよりも、現状で投資できる資金を使って地金を購入した方が大きな資産形成になると期待できます。
金現物は地金や金貨を買う方法もありますが、少額から始めたい場合にはプール共有型金商品を購入することも可能です。プール共有型金商品であれば、価値の高い金を少額から購入して保有できます。
たった今、投資に使える資金を金地金の購入に使用できるので検討してみましょう。
まとめ
金は限りある資源ですが、電子部品にも使用されるようになって需要も高騰しています。埋蔵量はもう53,000トン程度で、現在までに採掘されてきた量の30%にも満たないくらいしかありません。
金の産出量と埋蔵量について世界の状況を見てみると、20年以内にはほとんどの国で金を産出できなくなることがわかります。
今後の金は需要と供給のバランスを考えると価格が上がっていくでしょう。埋蔵量が減るにつれて金の産出量も減っていき、価格が高騰すると考えるのが妥当です。
長い目で見れば金の価値は上昇していくので、早めに金の現物で投資を始めましょう。
プール共有型金商品なら少額から金額によらずに金投資を始められるため、今から金現物で資産運用をしたい人は検討してみましょう。
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