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2022/11/01

日本は世界有数の都市鉱山!金の量と都市鉱山開発の課題を解説

日本は世界有数の都市鉱山!金の量と都市鉱山開発の課題を解説

日本は「黄金の国ジパング」と呼ばれた時代もありましたが、現在では金山に恵まれているわけではありません。世界的に見ると金の産出量は決して多くはないのが現状です。

しかし、日本は世界有数の都市鉱山として話題になっています。都市鉱山とはどのような意味なのでしょうか。

この記事では都市鉱山の意味と、日本の都市鉱山の規模や開発の課題について解説します。

都市鉱山とは

都市鉱山とは都市の中にある金などの貴重な金属資源を指します。日本は世界有数の都市鉱山と言われていますが、どのような意味なのでしょうか。

いわゆる金鉱脈などの自然鉱山とは都市鉱山はまったく意味が違います。

ここではまず都市鉱山について詳しく見ていきましょう。

リサイクルの観点から提唱された概念

都市鉱山とは限りある資源である金属をリサイクルすべきだという観点から提唱された概念です。

都市鉱山の概念は東北大学選鉱製錬研究所の南條道夫教授によって1980年代に打ち出されました。

都市では金などの貴重な金属が使用されている電子機器や医療機器などがゴミとして捨てられてしまっています。

金属をリサイクル

ゴミ処理場では貴重な金属を含むゴミが山積みになっていて、最終的には埋め立て地に埋められてしまっているのが現状です。このゴミの山を鉱山にたとえたのが都市鉱山です。

金は鉱脈から採掘されている地下資源です。都市鉱山は地上資源であり、採掘をする必要なくリサイクルのプロセスを確立すればすぐに再利用できます。

限りある資源を有効活用するために都市鉱山開発をする研究が盛んにおこなわれてきています。

金の都市鉱山の例

金の都市鉱山にはどのようなものがあるのでしょうか。

典型的なのは純金や金メッキをしたアクセサリーや時計です。また、電子機器ではICチップやコネクターに金がよく用いられています。

金が錆びにくくて金属アレルギーなども起こりにくいことから、歯科治療の素材や人工骨の材料としても活用されています。

アクセサリーや電子機器が捨てられたり、人工歯や人工骨として金を使っていた人が亡くなったりしたときには金の都市鉱山になっています。

日本の都市鉱山にある金

都市鉱山の概念は日本で提唱されたものです。その背景には日本の都市鉱山の規模が大きいという事実があります。

日本の都市鉱山の金についてここで簡単に知っておきましょう。

都市鉱山の規模は世界有数

日本の都市鉱山は世界有数の規模を持っています。日本は資源がない国とよく言われていますが、あくまで金や他の金属、あるいは原油や天然ガスなどの天然資源がないだけです。

都市鉱山のような地上資源は潤沢にあります。特に金については資源大国とも言えるくらいの保有量があります。

日本の都市鉱山には金がおよそ6,800トンあるというのが、独立行政法人物質・材料研究機構の2008年の報告によって明らかになっています。

2008年当時の世界の金の埋蔵量は42,000トンだったので16%に相当する量の都市鉱山があったことがわかります。

日本の都市鉱山の金の規模
日本の都市鉱山

約6,800トン

世界の金の埋蔵量

42,000トン
2008年当時

現在では金の現有埋蔵量は53,000トンと試算されているので、12.8%に相当します。

ただ、ICチップなどの使用と廃棄はその後も進んでいるため、現在ではもっと大きな割合を占めている可能性もあるでしょう。

金の埋蔵量は限られていることも考慮すると、日本は再び「黄金の国ジパング」になっています。

日本の都市鉱山にあるのは金だけではない

日本の都市鉱山には金以外にも貴重な金属がたくさんあります。いわゆるレアメタル、レアアースの宝庫になっているのが現状です。

銀やプラチナなどの宝飾品でもよく用いられている貴金属だけでなく、工業的に希少価値があって価格も上がってきているリチウム、スズ、タングステン、インジウム、ガリウムなども都市鉱山に埋もれています。

独立行政法人物質・材料研究機構によるレポートでは、世界の埋蔵量に対して日本の都市鉱山の量についてまとめています。例えば、銀は世界の現有埋蔵量に対して22%、スズは11%、インジウムは61%、銅は8%、プラチナは4%です。

日本の都市鉱山の規模

約16%

22%

インジウム

61%

スズ

11%

8%

プラチナ

4%

タンタル

10%

どの金蔵資源も産出できる量には限りがあるため、これほど大量のレアメタルやレアアースがある日本は、考え方によっては資源大国と言えます。

都市鉱山の開発方法

金の都市鉱山は自然の金山や金鉱脈と同様に開発をして純度の高い金を産出しなければなりません。当然ながら、都市鉱山の開発は天然鉱山の開発とは方法が異なります。

ここでは都市鉱山の開発方法について、一般的なプロセスを紹介します。

都市鉱山開発のプロセス

都市鉱山開発では一般的に使用・回収・解体・分離・再生の5つのステップで進めています。

それぞれのステップで何をしているのかを簡単に見ていきましょう。

  • STEP1
    使用
    都市鉱山はICチップや金歯などの製品としてまず使用されるところから生み出されます。

    使用されている段階ではまだゴミとしての都市鉱山の一部にはなっていない段階ですが、いずれ使われなくなって廃棄されるでしょう。使用済みになって捨てられることで都市鉱山が作り上げられます。
  • STEP2
    回収
    使用済みになって廃棄された金を含む製品から金を産出するには、回収することが必要です。以降のステップの工程を実施できる施設に運び込まなければ開発はできません。

    リサイクル品として通常のゴミとは別経路で回収して、専用施設に運び込むのが理想的です。
  • STEP3
    解体
    施設に運び込んだら解体がおこなわれます。金を含む製品の大半は金以外の素材によって作られているので、金を含むパーツのみを取り出して、金を取り出しやすくします。

    例えば、パソコンからIC基盤を取り出し、その中から金を含む部分だけを切り出すというプロセスです。
  • STEP4
    分離
    解体を経て金が含まれているパーツを取り出したら、純度を上げるために不要なものを取り除いて分離します。

    ICチップならプラスチック基板を使用している場合が多いので、プラスチックを除去するのが基本です。

    金と他の金属が合金になっている場合には金属の性質の違いに着目して分離します。
  • STEP5
    再生
    分離をしたら最終的に金として十分に使えるくらいの純度に引き上げる再生をおこないます。

    再生は最も難しいステップで、金の素材として使うのに必要な純度にしなければなりません。

    高純度で用途に合った金に再生した時点で、都市鉱山の開発が終了します。

再生における現存の技術

都市鉱山開発では再生技術が特に重要です。素材として使用できる品質の金にできなければリサイクルはできないからです。

現在では再生技術として希釈型と抽出型があります。

希釈型

希釈型による再生は分離によって純度を上げた金と純金を混ぜる方法です。

95%まで分離を通して純度を上げられたとしたら、99.99%の純度の金に少し混ぜても品位を99%程度に保つことができます。

希釈型
純度を上げた金 95%の純度の金 純金 99.99%の純度の金
99%の純度の金

このように高純度の金と混ぜることで実用できるレベルの純度の金にするのが希釈型のアプローチです。

希釈型は高純度の金がなければできない再生方法ですが、低コストで実用可能な金を再生できる点で優れています。

抽出型

抽出型は分離済みの金から取り出す方法です。抽出型の再生技術は精力的に研究が進められている段階になっています。

高純度の金を都市鉱山から産出するには抽出型の再生が必要です。他の金属やプラスチックなどを除去して、金だけを取り出すのが抽出型のアプローチです。

不要物の種類や量が多いほど難易度が高く、個別に抽出条件を最適化しなければ高純度の金を得られないのが現状です。しかし、高純度の金を再生できる可能性があるため、精力的な研究が進められています。

都市鉱山開発の課題

日本の都市鉱山を開発するにはまだ大きな課題があります。技術大国と言われる日本でもまだ精力的な研究が必要な状況です。

ここでは都市鉱山開発の課題について簡単に紹介します。

資源の収集・輸送

資源の収集・輸送

都市鉱山の開発では資源となるICチップなどをいかにして収集して輸送するかが大きな課題です。

全国で見れば大量の資源が生み出されていますが、地域単位で見ると量は決して多くありません。

効率的に開発をするには一か所に集積する必要があります。都市鉱山の資源は発生源が希薄分散型になっているため、資源を集める方法を確立することが課題になっています。

廃棄物の処理

都市鉱山の開発では廃棄物の処理問題と表裏一体です。

都市鉱山の開発を目的として処理を進めると、金などのレアアース、レアメタル以外は廃棄物になります。

プラスチックなども理想的にはリサイクルをして資源を大切にする必要があります。

都市鉱石型廃棄物の問題と言われている点で、製品に含まれている他の有用素材についてもリサイクル方法を同時に確立しなければならないのが課題です。

コストへの対応

都市鉱山はコスト面でも課題があります。都市鉱山から金や他のレアアース、レアメタルを取り出すには莫大なコストがかかるのが現状です。

電子機器から抽出する際には切実な問題で、スマホ一台には100円くらいの希少金属しか含まれていません。

収集や輸送のコストも加味して、低コストでのリサイクルができなければ金価格が高騰してしまいます。自然鉱山から開発された金と競争できるくらいの価格にしなければならないのが大きな課題です。

都市鉱山開発がもたらす金投資の魅力

都市鉱山開発の概念や現状の課題を見ると、金投資が魅力的だと思った人もいるでしょう。

日本は都市鉱山が豊富な国なので、今後の金や他のレアアース、レアメタルの流通や相場に大きな影響を与える可能性があります。

都市鉱山開発について考えると、金投資はすぐに始めた方が良いというのが結論です。その理由を順を追って確認していきましょう。

金の埋蔵量は限られている

金は世界的に安定した需要がありますが、埋蔵量が限られているので自然鉱山からずっと産出し続けられるわけではありません。

各国の埋蔵量
オーストラリア

11,000t

ロシア

6,800t

南アフリカ

5,000t

米国

3,000t

インドネシア

2,600t

ブラジル

2,400t

カナダ

2,200t

ペルー

2,000t

中国

2,000t

ウズベキスタン

1,800t

採掘できる金がなくなったとしたら、都市鉱山からまかなわなければ新しい製品を作ることは不可能です。

そのため、長期的に考えると都市鉱山による金の産生のシェアが広くなっていくでしょう。金の埋蔵量が減るにつれて金価格は上がる可能性が高いため、金の現物価値は上がると予想されます。

都市鉱山開発のコストが金の価値を上げる

都市鉱山開発によってリサイクルが進むと金の価値は上がる可能性が高くなります。

リサイクルのコストが大きな課題になっているのが現状で、技術開発が進むことによりコストは抑えられるようになるでしょう。

しかし、他のゴミのリサイクルでもコストが高いのが問題になり、再生紙などのリサイクル品も価格を抑えられていません。

金についても同様に都市鉱山からリサイクルされた金が主流になると、市場価格を上げざるを得ないでしょう。

都市鉱山開発のコストが上乗せされる形になり、現在よりも金の価値が上がります

金産出が進められている間に投資をするのが得策

都市鉱山開発はまだ発展途上にあるため、金の相場価格にはほとんど影響を与えていません。

しかし、近い将来には自然鉱山の金が枯渇してきて、都市鉱山の開発が必要になります。金投資による資産形成をするなら、金産出が進められている今のうちに投資を始めるのが得策です。

埋蔵量が減るにつれて金の価格は上がる可能性が高く、都市鉱山の開発が進んだらさらに価格が高騰するでしょう。

その前に金を現物として確保すれば、相場の高騰によって大きな資産形成を達成できます。

金の埋蔵量の先行きは不透明ですが、限りある資源なのは事実です。長期的な視野で資産を増やしたいと考えているなら、早めに金の現物で投資を始めましょう。

まとめ

日本の都市鉱山は世界有数で、埋蔵量に対して16%くらいの金があります。

今後、金の産出が進められて埋蔵量が減るにつれて都市鉱山開発の必要性が高まるでしょう。都市鉱山開発にはコストがかかるので、金の相場も上がっていくと考えられます。

金の産出が安定して続けられている今は金の現物資産を手に入れるのにうってつけの時期です。金投資を始めるのは早いに越したことはありません。

都市鉱山の開発が進んで都市鉱山由来の金が主流になる前に金投資を始めるのが賢い方法です。

少額からでも始められる金投資のサービスもあるので、余剰資金を金投資に活用してみてはいかがでしょうか。

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