2024/03/28
金は相続税の対象!評価額の計算方法とメリット・デメリットを解説
金地金や金のアクセサリーなどの金製品、金ETFや純金積立などの金投資商品は相続税の対象になります。相続対策として金を資産として持つのは良いのかどうかが気になっている人もいるでしょう。
金を相続財産として残すのはメリットもデメリットもあります。この記事では金の相続税課税評価額の一般的な計算方法を紹介した上で、金を相続財産として持った方が良いかを詳しく説明します。
目次
金は相続税の課税対象
金(ゴールド)は相続財産の対象になります。
仏具や祭具のように一部の財産は課税相続額を算出するときに対象外にできますが、金の場合には財産の形によらず課税対象です。
課税対象になる金の財産
課税対象になる金の財産は多岐にわたっています。生前整理や遺品整理のときには、金としての価値がある財産を見つけて相続対策をすることが重要です。
例えば、以下のような金の財産は課税対象になります。
- 金地金
- 金貨
- 純金積立
- 金ETF
- 先物取引
- 金の指輪
- 金の腕時計
- 金の仏像
- 金歯
金に関連する財産は多いので注意が必要です。昔に入れていた金歯が残っていて相続財産として認められるという場合もあります。
金が含有されているものは相続財産になると考えて、財産目録を作成しておくのが無難です。
金の一般的な相続税課税評価額の計算方法
相続税は金だけでなく他の相続財産と合わせた総額に対して計算します。金を相続するときには、金の相続税課税評価額を算出することが必要です。
金ETFのような証券の場合には証券価額に基づいて評価額を算出できます。金貨の場合にも買取価格を評価額とすることが可能です。
しかし、金地金などの金製品の場合には金の相場価格に基づいて計算する必要があります。ここでは一般的に適用できる金製品の相続税課税評価額の計算方法を説明します。
金の含有量を調べる
まずは金ではないかと思われた相続財産について金の含有量を確認します。
金地金なら欣の量と純度についての刻印があります。99.99%の純度の1キログラムの金地金といった形でわかります。
ただ、金の指輪や仏像のように含有量がわからない金製品もあります。この場合には金買取の専門業者に査定を依頼して対応しましょう。
査定を依頼すると製品の重量などを指標にして含有量を算出してくれます。
金の相場を確認する
次に金の相場を確認しましょう。相続財産の課税評価額を計算するときには被相続人の死亡日の値を使用します。金の相場が公開されていない日に被相続人が亡くなった場合には直近の日の数値を使用することが可能です。
金の相場価格として田中貴金属工業株式会社の買値・売値が昔からよく用いられてきました。一般財団法人日本金地金流通協会では他に石福金属興業株式会社と株式会社徳力本店も候補として挙げています。
どの会社のデータを使う場合にも、オンラインで簡単に相場価格を確認できます。不安があるときには電話をして被相続人の死亡日の買取価格を聞きましょう。
相続税課税評価額を計算する
最後に相続税課税評価額を計算します。金地金、金の含有量が多いアクセサリーや仏具のときには以下の計算式で評価額を算出可能です。
相続税課税評価額=金の重量(g)×金の1gあたりの買取価格
金の含有量が少なくて金としての単価が5万円以下になるアクセサリーなどについては、査定価格に基づいて相続税課税評価額が決まります。
金メッキが施されているだけで金としては1万円しか価値がなかったとしても、アクセサリーとしてハイブランドで4万円の価値があるときには相続財産としては4万円と評価されます。
金を相続財産として残すメリット
金は相続財産に子孫に残すと喜ばれます。相続財産として他の財産と比較するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
金の価値は伸び続けている
金は市場価値が上がっているので相続人から喜ばれる運用資産になります。金の価値は伸び続けていて、高値を更新し続けているのが現状です。
年月 | 金価格 | |
---|---|---|
2024年 | 2月 | ¥9,779 |
1月 | ¥9,622 | |
2023年 | 12月 | ¥9,486 |
11月 | ¥9,604 | |
10月 | ¥9,246 | |
9月 | ¥9,155 |
相続人にとっては将来に向けて増やせる財産になるので、資産運用を始めるきっかけにもなるでしょう。
現物や証書なら維持費がかからない
金地金や金貨などの現物や金証書であれば維持費がかかりません。相続前に余計な費用がかかることもなく、相続後に相続人が維持費の負担を強いられることもないのがメリットです。
ただし、金地金を金庫に預けているときなどには手数料がかかるので注意が必要です。純金積立でも継続しない場合には純金の引き出しをしたり、売却したりするのに手数料がかかります。
譲渡によって相続財産が減らない
相続前に被相続人が金を処分すると譲渡所得が発生します。金を売って利益を得た場合には譲渡所得税を納めなければなりません。
金資産を運用しているときに、生前整理で売却すると、相続を所得税によって相続財産が減ることになります。相続税の控除の範囲内に収まるなら相続税が増えるわけではないので、総額が大きい方が子孫にとって喜ばれるでしょう。
相続時に分割しやすい金資産も選べる
相続のときには遺産分割協議が大きな課題になります。遺産を適切に分割できず、相続人の間でトラブルが起こることがよくあります。
故人の住まいや土地の相続でよく起こるトラブルです。しかし、金地金やプール共有型金資産なら金資産は分割しやすいので法定相続分に分けて相続しやすい形を整えられます。
関連記事プール共有型金資産とは
金を相続財産として残すデメリット
金を相続財産として残すと相続人を悩ませてしまうことがあります。子孫に取ってどのようなデメリットがあるのかを理解しておきましょう。
分割しづらいときに相続トラブルが起こる
分割しづらいと相続トラブルになり、親戚関係が悪くなるリスクがあります。
相続人の間で分割をしやすいように金資産を分けて置くことは重要です。あるいは遺書をしたためて、相続トラブルが起こりにくくしておきましょう。
現金にする方法で相続人が困る場合がある
金は現金にする方法がわからなくて相続人が困る場合があります。金買取業者はよく知られていますが、売ってしまって安く買い叩かれないのかが不安になることもあるでしょう。
遺産分割協議のときに誰も金を相続しないということになり、現金にして均等に相続したいという場合もあります。慣れていないと金の売り方がわからないのは問題になるので、現金にする方法を書面に残しておいた方が良いでしょう。
配当や利子のある資産ではない
金は相続しても配当や利子があるわけではありません。売ったら現金になる資産なので、投資不動産や株式、投資信託などに比べると魅力がないと思われることがあります。
特に配偶者の収入を確保したいというときには金が適しているとは言えません。運用による収入を求める相続人がいるなら、金以外の投資にも資産を分配しておくと心配ありません。
子孫が金を売却するときに譲渡所得が発生する
金を相続資産として残すと、相続人あるいはその子孫が売却する時点で譲渡所得が発生するのがデメリットです。
取得費と譲渡額の差額に対して所得税がかかるため、利益が大きかったときほど税金の負担が大きくなります。
譲渡所得は総合課税なので、給与所得や事業所得などを得ている場合には、全体の税率が高くなる可能性もあります。
税負担が大きい資産を残すことになる場合もあるので、あらかじめ相続人に説明をしておくのがおすすめです。
まとめ
金は資産の種類によって相続税課税評価額の計算方法が異なります。金の現物資産では相続税課税評価額は金の重量×被相続人の死亡日における金の単価で計算できます。
金は相続した後も価値が着実に上がっていく可能性が高いので、子孫から喜ばれる相続財産になるでしょう。ただし、維持費や分割しやすさも考慮して、遺産分割協議でトラブルにならない金資産にしておくことが重要です。
プール共有型金資産は流動性が高く、金現物を保管料無料で預けられます。取引ごとに金証書を分けられるので、相続に適している金資産としてぜひご検討ください。
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