2023/11/24
金投資と銀投資を比較!金銀の投資の選び方
金と銀は貴金属への投資を始めようとしたときにどちらを選ぶべきかわからずに悩みがちです。
金も銀も貴金属として有名で、身近にも存在することからニーズがあるのは明らかでしょう。投資をする観点では金と銀のどちらを持つのが良いのでしょうか。
この記事では金銀のそれぞれの性質に基づいて、どちらを選ぶと良いかを解説します。安全性の高い投資をするか、リスクの高い投機をするかによる違いが大きいので、念頭に置いて金銀の違いを見ていきましょう。
金と銀の金属としての特徴
金と銀は金属としての性質に違いがあります。金と銀のそれぞれについて、どのような特徴を持っているかをまず解説します。
金とは
金は黄金色の美しい姿を持つ貴金属です。発見された時期がわからないほど昔から貴重な金属として宝飾などに用いられてきました。
金は美しさを保ち続けられる安定性において他の貴金属よりも優れています。鉄や銅などの金属は空気中で酸化されて錆びてしまいますが、金は錆びることがありません。
錆びやすさの指標になる第一イオン化エネルギーが890.1kJ/molで、他の金属に比べて突出して高くなっています。資産価値を損なうことなく保有できる資産です。
金は希少金属で産出量を各国が制限しています。主な金産出国は中国、オーストラリア、ロシア、カナダ、アメリカです。
先進国が多いのが特徴で、国家事業の一つとして金の生産をしています。
銀とは
金と同様に銀も有史以前から知られていた貴金属で、日本では白銀とも呼ばれていました。銀白色の光沢がある金属で、太古の昔には金よりも高価な金属として装飾品や貨幣などに用いられてきました。
古代エジプトや古代インドでは金を銀でメッキしていたという歴史があります。古代ギリシアでは産出量が多い銀山があり、国家の資産としての活用に銀が貢献しています。
銀は電気伝導率や熱伝導率に優れていて、可視光の反射率は特に突出していることから美しい金属光沢を帯びています。延展性にも優れているため、安定性の高い金属の中で加工性が高い金属として重宝されています。
第一イオン化エネルギーは731.0kJ/molなので金には劣りますが、空気中での安定性は十分にある貴金属です。
銀も希少金属で産出量の制限が設けられています。主な銀産出国はメキシコ、ペルー、中国で、3国で年間産出量の半分を占めているのが現状です。
発展途上国による寄与が大きく、メキシコやペルーでは銀の生産が重要産業の一つになっています。
投資で重要な金と銀の違い
金と銀でどちらに投資すべきか迷ったときには、基本的な特徴を念頭に置いて投資価値を比較することが大切です。
ここでは投資価値を判断する上で重要な比較ポイントを取り上げて解説します。
相場価格
金と銀では圧倒的な相場価格の差があります。2023年8月時点では田中貴金属の平均グラム単価では金は8,988円、銀は112.20円です。
80倍くらいの差があるのでグラム単価で考えると金が優れています。
2023年 | 金価格 | 銀価格 |
---|---|---|
10月 | ¥9,246 | ¥110.34 |
9月 | ¥9,155 | ¥113.10 |
8月 | ¥8,988 | ¥112.20 |
7月 | ¥8,879 | ¥111.27 |
金や銀を購入すると盗難などのトラブルを防ぐためのセキュリティ対策が必要です。少量で大きな資産を管理できる点では金が優れています。
少額の貴金属資産を保有するという観点では銀が魅力的です。
用途
投資として金銀を比較する際には用途の違いを理解することが重要です。用途によって需要の変化に違いが生じるため、売買の判断をする基準を考える上で参考になります。
金
金は金地金や金貨に加工されて投資用途として運用されています。また、指輪やネックレスなどの宝飾品としてもゴールド製品が人気です。
黄金色の美しさを生かす目的で金メッキをしていることもあります。
金は太古の昔から崇拝されてきたため、仏像や仏壇などにも用いられています。美しくて煌びやかな性質を持っていることから、金箔にしてお祝いのイベントのときに使用することも多くなりました。
新年のお祝いでは金箔入りの日本酒も喜ばれています。
金は安定性が高くて生体親和性も高いことから医療でも金歯や関節部品として用いられています。電気伝導率が高い性質を生かし、工業でもスマートフォンなどの電子機器に使用されていて、用途が幅広いのが金の特徴です。
銀
銀にも多様な用途があります。銀白色で美しい光沢を持つことからシルバーアクセサリーやカテラリーとしての利用が盛んです。
銀も電気伝導率や熱伝導率が高いことから、金と同様に工業材料として用いられています。金と比較すると安価に使用できる素材なので、製品製造では特に重宝されています。
価値の安定性
金と銀で価値の安定性についてはそれほど大きな違いはありません。どちらも空気中で安定な性質を持っていて、長期間保有していても品質低下による資産価値の低下は起こらない貴金属です。
どちらも用途が広いため、資産価値としての安定性は優れています。
希少性
貴金属としての希少性では金が銀を凌駕しています。地球に存在する銀の総量は140万トンと推算されていますが、金の総量は23万トン程度です。
希少性では金が優っているのは明らかでしょう。銀の埋蔵量はおよそ40万トン程度で、埋蔵量だけでも金の総量を超えています。
金 | 銀 | |
---|---|---|
総量 | 23万トン | 140万トン |
埋蔵量 | 約53,000トン | 約40万トン |
金も銀もリサイクルが進められていますが、用途が広いので新たに算出した金銀を使用することが必要です。希少価値の高さでは金が優れているため、長期的には金の価値が上がりやすいと考えられます。
金投資と銀投資の選び方
金投資と銀投資は金銀の性質の違いがわかると選べるようになります。
ここで説明してきた金銀の違いに基づいてどちらを選ぶべきかを解説します。
短期の投機では銀投資
投機としてハイリスクハイリターンの資産運用をする場合には銀投資が優れています。銀の相場はボラティリティが高いので数日から一ヶ月程度でも利益を得る取引ができる可能性が高いでしょう。
金も毎日価格変動を起こしているため、短期投資に利用できます。ただ、銀に比べると金は値動きが穏やかです。
ミドルリスクミドルリターンなら金の方が良いでしょう。ハイリスクでもリターンを大きくしたい人には銀が選択肢になります。
長期投資では金投資
長期投資では金なら信頼性が高いのでおすすめです。過去には10年間で金価格が6倍になったときに、銀価格は9倍に上がっていたこともありました。2000年代の初期に起きた変化です。
ただ、銀相場は産業の動向による影響を受けやすいため、景気が低迷すると価値が下がるリスクがあります。
金は景気が悪くなって物価が下がると価値が上がるため、リスクヘッジ資産としても用いられているのが特徴です。長期的に資産運用をするなら金投資がおすすめです。
関連記事金が長期保有に適している理由とは
まとめ
金と銀は性質や用途が異なるので投資対象として比較するときには広い視野で考えることが必要です。
長期投資によって資産形成を目指すなら金の方が安全性が高い資産です。
産業利用の多い銀は景気による影響を受けて複雑な価格動向になることがあります。そのボラティリティを生かす短期投資なら銀も選択肢です。
金投資と銀投資では性質が異なるので選択が必要ですが、全体としては金はボラティリティが低くて運用しやすい資産です。必要に応じて銀に分散投資をして短期投資に応用することも可能なので、金銀で迷ったときには金投資から始めることをおすすめします。
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