2023/12/20
金投資とプラチナ投資の違い
金とプラチナは貴金属投資でよく選ばれている商品です。どちらも高価な貴金属で相場が上がってきている性質があります。
どちらを選んだ方が今後の資産形成になるのかを判断するのは容易ではないかもしれません。
この記事では金投資とプラチナ投資の性質の違いを、それぞれの金属の特徴から詳しくまとめました。金とプラチナのどちらに投資すると良いかを判断できるようになりましょう。
目次
金とプラチナの金属としての特徴
金とプラチナは金属として異なる性質があります。
まずは金とプラチナについて概要を確認しておきましょう。
金とは
金は太古の昔から貴重な金属として装飾品や祭祀用具に用いられてきました。有史以前から知られていた貴金属の一つで、黄金色に輝く美しさから重宝されています。
金は極めて安定性が高いのも特徴です。第一イオン化エネルギーが890.1kJ/molで、王水に溶けるくらいでほとんど溶解することがありません。
空気中の酸素による酸化を受けることもなく安定して存在できる資産になります。 金は中国、オーストラリア、ロシア、カナダ、アメリカなどで産出されています。
希少資源なので産出して流通させる量に制限が設けられている貴金属です。流通量が制限されていて、かつ多様な用途があることから高い資産価値を維持しています。
プラチナとは
プラチナは銀白色の軟らかな貴金属です。プラチナが貴金属として認識されたのは1738年と言われています。
スペインの軍人のアントニオ・デ・ウジョーアが1735年にペルーに渡った際に発見した金属を1738年にプラチナ鉱石として南米諸王国紀行に記述しています。実際には紀元前から古代エジプトではプラチナが使用されていました。
最も有名なのはルーブル美術館に所蔵されているテーベの小箱で、紀元前700年前後のものと推定されています。プラチナは銀白色の輝かしい姿を持つだけでなく、物理的性質も優れていることから材料としての活用が進んでいます。
プラチナは金と比較して遜色ない安定性を持ちます。第一イオン化エネルギーは870kJ/molで、空気中で酸化されたり、水に溶けたりすることはありません。金と同様に王水に溶けるくらいで高い安定性がある貴金属です。
プラチナの産出は南アフリカ共和国とロシアが中心で、およそ9割を占めています。ジンバブエ、カナダ、アメリカでも産出されていますが、生産は限られた地域に依存しているのが特徴です。
投資で重要な金とプラチナの違い
投資する資産として金とプラチナは何が違うのでしょうか。
基本概要を踏まえた上で、より投資に影響する要素について違いを見ていきましょう。
相場価格
金とプラチナの相場価格は2023年の時点で2倍ほどの違いがあります。2023年8月の田中貴金属における1gあたりの平均相場では金が8,988円なのに対して、プラチナは4,389円でした。
2023年 | 金価格 | プラチナ価格 |
---|---|---|
10月 | ¥9,246 | ¥4,372 |
9月 | ¥9,155 | ¥4,464 |
8月 | ¥8,988 | ¥4,389 |
7月 | ¥8,879 | ¥4,367 |
単価が安いという点ではプラチナは取引しやすいと言えます。しかし、地金で取引をしたときには保管コストを考えなければなりません。
少ない量でも価値がある金の方が保管コストを抑えられるので投資による利益を得やすいと考えられます。
用途
金とプラチナを投資目的で選ぶ際には、それぞれの金属が売買されて何に使われているかを理解することが重要です。用途の違いによって選ぶべき投資先が変わることがあります。
金(Gold)
金は美しさや高級感があると感性に訴えかける力があり、普遍的な価値を持っています。宝飾品としてゴールドアクセサリーは世界的に人気です。金の食器や仏壇などにも人気があります。
金は生体親和性が高いため、金歯や偽関節のように身体に埋め込む医療材料としても必要性が高い素材です。この他にも金箔としてお祝いのシーンで金は頻用されています。
プラチナ
プラチナはアクセサリーや食器などとして利用も進んでいますが、用途として主流なのは工業材料です。パソコンやスマートフォン、ハードディスクなどにはプラチナが熱伝導率や電気伝導率で優れている希少な材料として使用されています。
自動車などの機械類の生産でもプラチナは貴重な材料です。医療や美容の素材でもプラチナの利用が進んでいる状況があります。プラチナは産業利用用途が多いのが金とは異なる点です。
価値の安定性
金とプラチナでは価値の安定性に大きな違いはありません。現物として保有したときに、外的要因によって品質が損なわれることは金もプラチナもほとんどありません。
盗難対策はどちらの場合にも必要ですが、自然に錆びて価値が下がることない安定性を持っています。
希少性
希少価値の高さではプラチナが優れています。今までに採掘された金とプラチナの重量には雲泥の差があります。
金は20万トン以上とされているのに対して、プラチナは7,200トン程度です。年間産出量も金は3,000トン程度なのに対して、プラチナは200トンくらいしかありません。
プラチナの埋蔵量は7,000トンくらいと試算されているため、金に比べて高い希少価値があるのは明らかでしょう。
金 | プラチナ | |
---|---|---|
総量 | 23万トン | 7,200トン |
年間産出量 | 約3,000トン | 約200トン |
埋蔵量 | 約53,000トン | 約7,000トン |
金投資とプラチナ投資の選び方
金とプラチナの特徴について比較すると金投資とプラチナ投資の違いも見えてきたでしょう。
ここでは金投資とプラチナ投資の選び方を解説します。
長期投資では金もプラチナも投資価値が高い
長期投資では金もプラチナも不変の価値を持つ希少金属なので投資価値があります。用途が広くてニーズが高い点では金が優れています。
しかし、埋蔵量が少なくて産出量が減っていく可能性がある点ではプラチナの投資価値が高いと考えることが可能です。
数十年という長期投資では金とプラチナに分散投資をするとリスクヘッジができるでしょう。
中期投資では金が優勢
数年程度の中期投資では投資目的で用いられている金の方が優勢です。リスクヘッジ資産として多くの投資家が金を資産として活用しています。
投資目的で利用されている金は時勢に応じた相場変動を起こすため、相場の傾向を予測しやすいのがメリットです。
希少性と需要の影響があって金は中期的に価格が上がる可能性が高い資産です。
短期投資ではプラチナも有用
数日や数週間程度の短期投資をするときには金投資もプラチナ投資も活用できます。短期投資では社会情勢によって適している投資対象が異なります。
プラチナは自動車や情報機器などの工業での利用が多く、プラチナを使用している業界の景気の良さによって価格が大きく左右されるのが特徴です。
例えば、自動車のニーズが高まって生産量や販売量が増えているときなら、プラチナに投資すると価格が飛躍的に上がるでしょう。
プラチナは金よりもボラティリティが高い傾向があります。先行きを予測できるタイミングであれば、プラチナを短期投資で使用する魅力があります。
ただ、短期投資で金が劣っているというわけではありません。金の生産国から産出量が規制されると発表されたら、金相場は短期的に上がります。金もプラチナと同様に投資価値がある対象です。
まとめ
金とプラチナでは希少性や用途が異なるため、投資価値に違いがあります。どちらも希少金属として長期的には価値が上がると期待できる資産です。
プラチナは工業用途が中心なのに対して、金は投資目的での利用が活発におこなわれています。
中長期投資であれば金投資から始めるのが安心です。長期投資や短期投資ではプラチナの運用が功を奏する可能性もあります。
社会情勢によってどちらが適しているかを判断することが大切です。
臨機応変な対応をしやすいプール共有型の資産は有用です。汎用性がある金でプール共有型の投資を始めてみましょう。
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