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2022/11/18

金地金と地金型金貨の資産価値の違い

金地金と地金型金貨の資産価値の違い

金を資産とする際に金地金と地金型金貨のどちらが良いのか悩むことがよくあります。

金地金も地金型金貨も金としての価値を持っている点では同じです。

ただ、資産価値については金地金と地金型金貨には違いがあります。金の資産としてどちらの方が優れているのでしょうか。

金地金にも地金型金貨にも金資産としての魅力があるので、何が違うのかを詳しく見ていきましょう。

金の資産として主流なのは金地金と地金型金貨

金を資産として所有するときには金地金と地金型金貨がよく選ばれています。

他にも金でできている製品はアクセサリーや時計、工芸品やカトラリーなどがありますが、金投資や資産運用では金地金と地金型金貨を利用するのが一般的です。

金の品位が高く、売買による取引も金相場に合わせておこなわれているので資産運用をしやすいからです。

金地金と地金型金貨の資産価値を比較する前に、まずはそれぞれの特徴を確認しておきましょう。

金地金の特徴

金地金の特徴

金地金は金をインゴットやバーに成形したもので、金の延べ棒としても有名です。

世界的には500グラムと1キログラムの金地金が生産されて取引がおこなわれています。

国内では少額投資をしたい人のために、非鉄金属メーカーが5グラム程度から再度製錬をしています。

業者によっては500グラム以上からの取り扱いですが、非鉄金属メーカーや一部の金地金商では自社製錬したインゴットを売買することが可能です。

金地金には番号、品位、重量、素材、製錬業者、検定分析業者の刻印があります。

日本では99%以上の品位の金地金がほとんどで、品質の高い金地金を少量から購入できます。

地金型金貨の特徴

地金型金貨

地金型金貨は各国の造幣局によって品位や重量について徹底した管理をして鋳造されている金貨です。

金の産出国を中心として世界中で鋳造されていて、法定通貨としての価値も持っているのが一般的です。

地金型金貨にはオリジナルのデザインがあしらわれていて、枚数を限定して発行されています。

希少価値があることから、地金型金貨はコレクション目的で所有する人も多い金資産です。

有名な地金型金貨としてはカナダのメイプルリーフ金貨、オーストラリアのカンガルー金貨、オーストリアのウィーン金貨などがあります。

収集型金貨との違い

金貨には収集型金貨や記念金貨と呼ばれるものもあります。地金型金貨との違いは投資目的で発行しているかどうかです。

収集型金貨は基本的に投資目的の資産としては発行されていません。

イベントの際に発行される記念金貨のことが多く、額面や金そのものの価値に比べて販売価格が著しく高いか、非売品として賞品などの形で授与されるのが一般的です。

収集型金貨はプレミアム価値の比重が金そのものに比べて大きいため、投資資産としてはハイリスクハイリターンなのが特徴です。

金地金と地金型金貨の資産価値の基本的な違い

金地金と地金型金貨は資産価値がどのように違うのでしょうか。

金資産として考えたときに基本的に異なる点をまずは紹介します。

金地金の資産価値は金と等価

金地金は金そのものなので、資産価値は金と等価です。金の市場相場が上がれば金地金の価値が上がり、市場相場が下がったら金地金の価値も下がります。

金地金の資産価値は単純に金の価値として考えられるのでわかりやすいでしょう。

金地金は検定分析業者によって品位が保証されているので、重量と純度に比例した価値を持ちます。

金は酸化を受けて品位が低下するリスクもないため、モノとしての価値を保てる安全な資産として運用できます。

地金型金貨の資産価値は金と等価ではない

地金型金貨は品位が各国の造幣局によって管理されているため、金としての価値ももちろん持っています。

1オンス、1/2オンス、1/4オンス、1/10オンスなどの金貨がありますが、重量がある金貨の方が価値が高いのは確かです。

1オンス 1オンス金貨 1/2オンス 1/2オンス金貨 1/4オンス 1/4オンス金貨 1/10オンス 1/10オンス金貨

しかし、地金型金貨の資産価値は金と等価ではありません。金の相場が上がれば一般的には地金型金貨の価格も上がります。

しかし、地金型金貨はプレミアム価値もあるため、取引価格は金そのものの価格よりも高くなっています。

1オンスの金貨と1オンスの金地金では金貨の方が高いのが一般的です。

金貨の鋳造に造幣局がコストをかけている分が上乗せされていると考えても良いでしょう。地金型金貨を資産として持つときにはプレミアム価値も考慮する必要があります。

資産価値の変動リスクの違い

投資や資産運用をするときには資産価値の変動リスクが気になる方が多いでしょう。

ここでは金地金と地金型金貨の基本的な違いに基づいて、それぞれの価値変動要因とリスクの大きさを解説します。

金地金の価値変動要因

金地金の価値変動要因は金相場と為替レートで決まります。

地金型金貨の場合にもこの2つによる影響を受けるので、どのような変動を引き起こすのかを確認しておきましょう。

金相場

金相場は金地金の価値そのものです。ロンドン市場が世界の金相場に最も影響力があります。

ロンドン市場で金の価格が上がれば金の資産価値が上がり、売買価格が高くなります。

金の市場相場は需要と供給の関係によって決まっていて、有事になると金が買われるのが一般的です。

金は世界的に価値が認められている不変の資産なので、通貨に比べると価値変動リスクが低いと考えられています。

そのため、紛争や世界恐慌などが発生すると金が買われて需要が高まり、相場が上がっていきます。

為替レート

金地金の価値は為替レートによる影響を受けます。市場相場は金と米ドルの取引価格で決まっているからです。

米ドル建てで金を売買している場合には為替レートの影響を受けませんが、日本円で売買しているならドル円の為替レートによって金の価値が変動します。

円高になるとドルを安く買えるので、金も安く購入できます。

円と金価格
円価格 金価格

しかし、円高のときに金を売却するとまずはドルになり、ドルを高い日本円に交換することになります。
そのため、円高になると金を安く買える代わりに、高くは売れません。

円安になった場合には購入価格も売却価格も高くなります。

為替レートによる影響
円高の場合円安の場合
購入価格 売却価格 購入価格 売却価格

モノとしての金の価値が変動しているわけではありませんが、日本円での資産価値を考えるなら為替レートによる変動も考慮する必要があります。

為替リスクについては金で資産運用をする際に考慮しておいた方が良いでしょう。

地金型金貨の価値変動要因

地金型金貨は価値変動を起こす要因が複雑です。金相場と為替レートだけで単純に資産価値を考えることができないので注意しましょう。

地金型金貨の価値変動要因について解説するので参考にしてください。

金相場

金相場は金地金と同様に地金型金貨の価値に影響があります。

上述のように金相場が上がれば地金型金貨の価値は高くなり、購入価格も売却価格も高くなります。

そして、金相場が下がると取引価格は低くなるのは金地金とまったく同じです。

為替レート

米ドル円の為替レートも円建ての資産として考えたときには地金型金貨の価値を変動させます。

金地金と同様で円高になると購入価格も売却価格も下がり、円安になるとどちらの価格も上がります。

為替レートによる影響
円高の場合円安の場合
購入価格 売却価格 購入価格 売却価格

為替レートの変化によって金そのものの米ドル建ての資産価値は変わらないのも金地金と同じです。

金貨の人気

地金型金貨は人気によって価値が変動するのが特徴です。発行国やデザインによって付加価値が添えられているからです。

メイプルリーフ
金貨
メイプルリーフ金貨
ウィーン金貨
ハーモニー
ウィーン金貨ハーモニー
カンガルー
金貨
カンガルー金貨

例えば、紛争によって金貨の発行国の政情が不安定になると法定通貨としての価値が失われるリスクがあります。

そのため、金貨の人気が下がって資産価値も下がるのが一般的です。人気による資産価値の変動は予測が難しいので地金型金貨を資産にするときには注意しましょう。

金貨の希少性

地金型金貨は希少性によって価値変動が起こります。

記念金貨のような収集型金貨は希少性によってプレミアム価値が付いているのが特徴です。

地金型金貨も収集型金貨と同様に発行枚数が限られているため、流通量が減ると希少価値が高まって取引価格が上がる傾向があります。

地金型金貨を持っていた富豪が亡くなり、一度に大量の金貨が売却されると大きく価値が下がるリスクがあります。

逆に買えない状況になると価値が上がりますが、市場の流通量による価値変動が大きい点には注意が必要です。

金地金と地金型金貨ではどちらが良いか

金を資産として運用するときには金地金と地金型金貨ではどちらが良いのでしょうか。

金による投資では資産価値としての違いに加えて、運用しやすさも考慮するのが大切です。

資産運用の考え方によって金地金と地金型金貨のどちらが適しているかは異なるので、どのように判断したら良いかをここで確認しておきましょう。

安全資産を手に入れるなら金地金

資産としての安全性を重視するなら金地金が適しています。金地金の価値は地金型金貨と違って、金相場と為替レートの影響しか受けないからです。

金相場は短期的には上下していますが、長期的には右肩上がりになっています。

金相場

金は埋蔵量が限られているため、金の現物としての価値は上がり続けていく可能性が高いでしょう。

為替レートの変動によって日本円に対する相対価値は下がる場合がありますが、金そのものの価値は為替レートによって変わることはありません。

金地金は重量=価値というわかりやすい安全資産なのでおすすめです。

人気や希少性を活かして運用するなら地金型金貨

価値変動の大きさに着目して運用したいなら地金型金貨が適しています。

地金型金貨は人気や希少性によって価値が変動する性質を生かして、ハイリスクハイリターンの投資ができます。人気が出て大量に購入されると希少価値が高まって売買相場が上がるでしょう。

相場が上がったタイミングで売却すれば利益を得られます。

売買による利益を得られるチャンスが多いのは地金型金貨の魅力です。

しかし、地金型金貨の人気がなくなってしまうと価値が下がり、相場も低くなるリスクがあります。

価値が下がったところで買い増しするか、あきらめて持ち続けるか、もっと価値が下がるよりはましだと考えて売却するかを考えなければなりません。

株式投資や商品先物取引のように定期的に相場を確認しながら運用する必要がある点には注意しましょう。

少額投資は金地金も地金型金貨も可能

金を少額資産として手に入れたい場合には地金型金貨が良いとよく言われていますが、金地金でも可能なのでどちらを選んでも構いません。

金貨は1/10オンスなら2万円程度から購入できます。

金地金の場合には1グラムが8,000円程度なので、グラム単位で買えば1万円あれば投資が可能です。
非鉄金属メーカーでの最小単位の5グラムを購入するには手数料がかかることが多いので、5万円くらいは資金が必要になります。

投資金額の目安
金貨 2万円程度 ※1/10オンス 金地金 5万円程度 ※5グラム

このように比較すると地金型金貨の方が少額投資をしやすいと言えます。

ただ、プール共有型の金地金であればグラム単位で購入できるため、地金型金貨よりも少額で運用を始められます。

1万円あれば金地金を資産として手に入れられるので、少額投資をしたいときにはプール共有型の金地金をおすすめします。

大口投資なら金地金

大きな資金を金資産にして運用したいなら金地金が良いでしょう。金貨は市場での流通量によって購入できる数量に限度があるため、大口投資にはあまり向いていません。

しかし、金地金ならキログラム単位での売買ができます。1キログラムの金は800万円前後の価値があるので、13キログラムで1億円を超える投資が可能です。

金地金は資産額によらずに運用できるのがメリットです。まとまった資金を金資産にしたいと思ったときには金地金をまずは検討しましょう。

まとめ

金地金と地金型金貨は高品位の金としての現物価値を持っている点は同じです。

資産価値としての違いは、地金型金貨が流通量による影響を受けるのに対して、金地金は影響がないことです。

金地金の金現物としての価値は金相場によって決まるため、安全資産として運用できます。

地金型金貨は人気や希少性や人気による価値変動リスクがあるのでハイリスクハイリターンの資産です。

金の安定的な価値を活かすには金地金を選ぶのがおすすめです。

プール共有型の金地金なら小口から大口まで幅広く対応していて、簡単に資産運用を始められます。

金資産を持ちたいとお考えの際にはぜひご検討ください。

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