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2022/09/27

米追加利上げ観測と金価格

米追加利上げ観測と金価格

米国の6月FMOCによる利上げの示唆を受けて、金資産について不安を抱えるようになった方もいらっしゃるでしょう。

金価格に対する米国の金融政策の影響は昔から大きく、米ドルの価値の変動によって価格が急変することもあります。

アメリカの金融緩和縮小の影響は今後の金価格にどのような影響を及ぼすと考えられるのでしょうか。

この記事では米国金利の今後の動向について説明した上で、金価格の展望をわかりやすく解説します。

米国金利は引き続き上昇傾向の可能性

6月のFOMCでは米国金利について0.75%の大幅利上げが行われ、世界に衝撃を与えました。

フェデラルファンドの金利の誘導目標を0.75%~1.00%から1.50~1.75%に大幅に引き上げられています。

FOMCでは早期大幅利上げという位置付けにしていて、今後も金利を引き上げる可能性を示唆しています。このような金融政策が取られているのはなぜなのでしょうか。

米国金利が引き上げられている背景とは

米国金利の引き上げの背景にあるのはインフレ対策です。2021年には世界各国でインフレが起こり、金融政策による対応が求められる状況が生まれていました。

主な原因はコロナウイルスの蔓延によるビジネスの停滞やサプライチェーンの混乱です。原油などの資源価格も高騰し、コストが上がった影響で物価が上がっています。

インフレ率の推移(日本とアメリカの比較)

インフレが続くとスパイラルに陥るリスクが高く、特に今回はコロナウイルスの影響によってビジネス全般に停滞が起こっていたことからハイリスクの状況でした。

そのため、FRBは2022年3月の時点で利上げの方針を固めて金融引き締めを進めています。

6月のFOMCでは早期大幅利上げによってインフレ率が2022年の5.2%という見通しから、2023年には2.6%まで引き下げられると予想しています。

FOMCメンバーの経済見通し
2022年 5.2% 2023年 2.6% 2024年 2.2%

実質GDP成長率を長期的に維持しつつ、失業率の大きな上昇を伴わない範囲での措置と考えられています。

年内にも追加利上げが起こる可能性がある

米国金利については9月のFOMCでも利上げがはっきりと示されました。9月15日におけるFOMCではフェデラルファンドの金利誘導目標水準として3.00%~3.25%以上という方向性が打ち出されています。

さらに年内には11月、12月にFOMCが予定されているため、それぞれで最低水準の0.25%の引き上げが行われたとすれば3.50%~3.75%以上の金利になる可能性があります。

追加利上げでも今までと同様に0.75%の引き上げになることもあり得るため、年末に向けて米国金利は大幅に上がる可能性を否定できません。

米国金利は今後も上がると考えるのがもっともな状況になっています。

米金利と逆相関の金価格は頭の重い展開か

金価格は一般的に米国の金融政策と深いかかわりがあります。フェデラルファンドの金利と金価格は逆相関をするのが一般的です。

追加利上げが進められている状況を考えると、金価格が下がるから頭の重い展開になると考えるのがもっともなことでしょう。

金相場が下がるなら金の現物を持つべきではなく、金投資はやめるべきだと考えるのが当然です。しかし、本当にこのような視点で考えて良いのでしょうか。

アメリカの金融緩和縮小が続く限りは厳しい

アメリカで金融緩和縮小の政策が進められている限りは金価格の大幅な上昇を期待するのは難しいのは事実です。

2022年3月にはロシアによるウクライナ侵攻の影響で一時的に金価格が高騰しましたが、6月のFOMCによる金融緩和縮小の発表後は金価格が下落する傾向が強まっています。

2022年5月時点では1,850ドル前後だった金価格は9月17日の時点で1,674ドルまで下がりました。8月には一時的に1,800ドルまで持ち帰しましたが、FOMCの決定を受けて下落の傾向が強まっているのが現状です。

金価格の下落傾向

金価格が下落しているのは円安ドル高の影響もあります。安全資産として投資家から人気がある金はドル高の状況では売って米ドルを買うという資産運用をするのが常套手段になっているからです。

また、金先物取引は米ドル建てが基本なので、ドル高のときには割高になってしまいます。結果として円安ドル高は金の価格を押し下げる要因になります。

米国の利上げが影響してドル高になっている面もあります。そのため、根本的にアメリカの金融緩和縮小が終わらない限りは金価格の高騰は期待できないでしょう。

金融緩和の時期はやってくる

金融緩和縮小が続く限りは金価格の上昇は見込めませんが、投資として金に着目する上では好機がやってきているとも言えます。金融引き締めが進められた後には必ず金融緩和の時代がやってくるからです。

米国で金融緩和政策が進められると、金利が引き下げられて米ドル価値が下がる傾向が生まれます。逆相関を示す金貨価格は米国の金融緩和によって上昇するでしょう。

米ドルと金貨価格の関係
米ドル 金貨価格

利上げによる金融引き締めは経済活動を抑制することにつながります。景気の低迷が起こるリスクが高く、追加利上げにも限界があります。

インフレを抑制する効果が十分に出てきた時点で金利を据え置きにするのが常套手段で、物価の低下が見られた時点で金融緩和に進むのが一般的です。

そのため、金融引き締めが加速されたのは、金融緩和のタイミングが前倒しされたと解釈することもできます。

金価格は年内は下がる可能性が高いのは確かですが、1年後や2年後になると金融緩和になって上がり始める可能性があります。

金は希少価値が高いため、長期的な視野では価格が上がっているのは事実です。この窮地を乗り越えればまた価格が上昇していくと考えられるでしょう。

長期的計画による金投資が重要な局面になっている

今後、米追加利上げがいつまで行われるかは予想するのが容易ではありません。FOMCで毎回利上げされている限りは金価格が下がり続ける可能性が高いでしょう。

しかし、金利据え置きや金利引き上げの決定が為されたときには金価格が上昇を始める可能性があります。

金投資をする上では今は長期的計画で取り組むのが重要な局面になっています。

金融緩和縮小によって金価格が下がり切ったタイミングで金現物を購入し、米国の金融緩和が進んだ時点で売却するのが理想的でしょう。しかし、どちらのタイミングを見極めるのも容易ではありません。

金価格が下落している現状は購入に適しているタイミングです。購入のタイミングによって金価格が違うことを考慮し、毎月一定額を購入して長期積立をしていくのが賢い方法でしょう。

定期的に金を購入する方法はリスク分散になる効果的なアプローチです。 長い目で見れば金価格は上がっていきます。価格が下がっている今は金を買う魅力的なチャンスだと考えて資産運用するのが賢い方法でしょう。

まとめ

米追加利上げは継続される方向性が示されていて、金価格は今後も下がり続けると予想されます。米国金利と逆相関があるため、金価格が当面は下落するのは避けられないでしょう。

しかし、金投資をする上では魅力的な局面になっていると考えられます。利上げによる金融引き締めの後には、必ず金融緩和が行われるからです。

今は金価格が下がっていて購入のチャンスになっています。

金価格の低迷期に買って、米国で利下げが進められたときに売れば大きな利益を生み出せる資産運用になります。

これから少しずつ金の現物を購入していき、資産形成のチャンスをものにしていきましょう。

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