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2023/06/20

金融庁と東京大学の協定締結から見る日本の金融と投資の今後

金融庁と東京大学の協定締結から見る日本の金融と投資の今後

金融庁は東京大学との基本協定を結び、今後は本格的に協力していく方針を立てました。金融行政にかかわる重要な金融庁が、最高学府の東京大学と協定締結をしたのは今後の金融・投資に大きな影響を与える可能性があります。

この記事では金融庁と東京大学の基本協定の内容を踏まえて、今後の投資についてどのように考えるべきかを解説します。

金融庁と東京大学の基本協定

金融庁と東京大学は産官学連携を推進する国の方針の下で、連携協力に関する基本協定を2023年5月31日に締結しました。

この段階では協力していく方向性で合意した基本協定なので、具体的なアクションプランについては策定されていません。しかし、協定の目的も内容も明確にされていて、今後の積極的な協力を進める方向性が明らかになっています。

基本協定締結の目的

金融市場及び金融行政に関する学術の実務の先端的知見の蓄積のための連携協力を目的としています。東京大学における学術研究と金融庁が担う金融に関連する実務の統合によってデータを活用する協力体制を敷こうという趣旨です。

大学における基礎研究を実社会で活用できるように橋渡しする取り組みと解釈することもできます。

基本協定で定められている協力内容

金融庁と東京大学の基本協定では以下の4つの項目が協力内容として挙げられています。

  • データドリブン手法による金融市場及び金融行政に関する研究
  • 金融庁の職員に対するデータ分析手法の教育
  • 東京大学の各部学生と大学院生に対する金融リテラシー教育
  • 研究・教育・広報のための新たな資金調達方法の産官学連携による開発

この他にもさまざまな形で目標達成に必要な連携協力を進めることが定められています。データを生かす考え方は国の基本方針に合致している点です。

金融庁にはデータを活用するプロフェッショナルが揃っているわけではありません。基礎から応用まで研究をしている東京大学に協力を要請し、今後の金融行政をデータに基づいて進めていく方針の協定になっています。

また、東京大学の学生・大学院生の金融リテラシー教育を協力しておこない、将来に金融にかかわる優秀な人材を育て上げることを目指しています。

基本協定の有効期間

金融庁と東京大学の基本協定の有効期間は令和5年5月31日から5年間です。中期的な視野での協力体制が構築され、金融行政の改革を進めようとしていることがわかります。

基本協定の期間延長については特に定められていませんが、成功の暁には継続的な協力体制が築き上げられるでしょう。

金融庁と東京大学の提携がもたらし得る影響

金融庁と東京大学が提携したことによって、個人にどのような影響があるのでしょうか。協力によって金融市場が上向きになっていくと単純に考えられるのかが気になった人も多いでしょう。

ここでは金融庁と東京大学の提携がもたらし得る社会・金融への影響を解説します。

AI活用による金融行政が加速する

金融庁と東京大学の提携によって金融行政でAIの活用が進んでいくでしょう。AIはビッグデータを分析して利活用する手段として注目を浴びています。

東京大学ではソフトバンクとの提携によってBeyond AI 研究推進機構を設立するなど、AI活用やその後の展望の研究に対して精力的な取り組みをしてきました。金融庁との提携でもAIの積極活用によって、金融行政の改善を図っていくと考えられます。

金融は各国の株式や債券などの有価証券の価格データだけでなく、為替レートの状況や金融政策のあり方、社会や投資家の動向などによって大きく変化します。SNSで要人が発言しただけで、金融不安が生じることも少なくありません。ビッグデータを最大限に活用するデータドリブンのシステムが整えられていくのは明らかでしょう。

金融システムの安全性・透明性が高まる

データドリブンの金融市場・金融行政が展開されることによって、金融システムの品質は向上していくと期待できます。金融庁は金融の安全性や透明性を追求して日本あるいは世界にとってベネフィットのあるシステムを構築・維持することが重要な使命だからです。

ポイント
  • いわゆる闇金と言われる貸金業法違反の金融まがいのサービスの取り締まりによって、消費者にとって金融サービスに見える各種サービスの安全性を保つシステムも整えやすくなるでしょう。

情報開示の促進の取り組みもIT・AIの活用によって円滑に推進できるようになります。東京大学との提携によって金融庁は合理的かつ迅速な方法で金融システムのコントロールをできるようになると考えられます。

投資家・消費者の保護のための規制が進む

金融庁による規制が今後は迅速に進むようになるでしょう。データドリブンの施策を進めていけば、スムーズな情報収集と妥当な規制案の策定をスムーズにおこなえるからです。

金融庁は投資家や消費者を保護する目的で規制をしている機関です。金融商取引の規制によってリスクの高い金融商品を安易に利用できないようにしたり、消費者が借り過ぎによって返済できない状況にならないように総量規制を敷いたりしているのが典型例です。

ポイント
  • このような規制が迅速に進むようになって、投資も借金もしやすい社会体制が整備されていくでしょう。

日本の金融の将来を考えて始めるべき今後の投資とは

日本の金融の将来を考えると、今後はどのような投資をしていくのが良いのでしょうか。

東京大学との提携によって金融庁による行政は少なくとも向こう5年間に大きく変わる可能性が高くなりました。今後の投資で重視した方が良いのは以下の3つの観点です。

利便性の高いオンライン投資の活用

データドリブンの金融行政改革が進むことを考慮すると、オンライン投資の安全性と利便性が向上していくでしょう。危険なオンライン投資が速やかに規制されていくようになり、安全な投資をスムーズにおこなえるようになると考えられるからです。

今からオンライン投資に慣れていくと、今後にオンライン取引可能な金融商品が増えたときにベストな投資を進めやすくなります。

ポートフォリオの拡張による堅実な投資

金融庁がデータやAIの積極的な活用を進めると、投資に関わる公的な情報が手に入りやすくなります。情報に基づいて投資判断をしやすい状況になるため、ボラティリティの大きな投資を狙うのが難しくなっていくでしょう。

ポートフォリオを拡張して安定した資産形成になる投資を増やしていくのが堅実で成功しやすい方法になると考えられます。分散投資をして堅実な投資を進めていくのがおすすめです。

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デジタル技術の活用リスクの考慮

東京大学との提供によって新しいデジタル技術の活用には速やかな規制がかかるようになると考えられます。

例えば、暗号資産の規制は行政が後手に回ってしまったために、大きな収入を得たのに税金がかさんでしまって結局損失になるといったケースが多発しました。このような新しいデジタル金融サービスの規制が速やかに進むようになってリスクは下がるでしょう。

しかし、規制強化によってデジタル技術が使いづらくなる可能性もあります。ChatGPTで投資のやり方を質問しようと思った人もいるでしょう。的確な回答をもらえて資産形成になる可能性ももちろんありますが、あくまでAIによる予測なので失敗することもあります。

このようなデジタル技術に基づくサービスへの規制が強まる可能性があるのが注意点です。デジタル技術に頼らずに自分の判断で投資できるようになるのが大切です。

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まとめ

金融庁と東京大学の協定締結によって、今後の日本の金融に大きな変革が起きる可能性が生まれてきました。AIを活用するデータドリブンの施策によって迅速な行政対応が進んでいくと予想されます。

今後の投資ではデジタル技術の使い方をよく考えていくのが重要になるでしょう。規制が進むことを念頭に置いた上で、積極的にオンライン投資を進めて堅実な資産形成をしていくのが賢明です。

これからのポートフォリオを再考して、持続的に価値が上がる資産を増やす安全策を検討しましょう。

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